拒食症の「頭では分かっているのに...」
「食べないといけない」
「体重を増やさないといけない」
「頭」では分かっているのに、食べるのが怖い。体重が増えるのが怖い・・・
拒食症を経験した方なら、この感覚分かりますよね。
「食べる」と言う当たり前なこと、生きるために必要なことに対して、たとえ1億円くれると言われても無理、食欲に任せてお腹いっぱい食べるのが“死ぬほど”怖いなんて、本人でさえ理解できない・・・
「頭で」理解しようとしてもそれができないのは、拒食症は『理屈』で起きているのではないから当たり前なんです!
「飢饉を逃れるための適応」説
拒食症は「病気」ではない?!
むしろ生き伸びるために必要な能力だった!
Adapted Flee Famine Hypothesis(AFFH)
(飢饉を逃れる適応反応説)
ほとんどの人は「聞いたことない!」のではないでしょうか。
AFFHは、今まで「病的」としか見られていなかった拒食症を
「実は生きのびるために人間が環境に適応させた遺伝子のためだった」
とShan Guisinger博士というアメリカの心理学者が、ヒトの「進化」に注目して提案した仮説なんです。
驚きですよね!
病気でやっいなものでしかなかった拒食症が、実は大昔には生き延びるために欠かせない遺伝子だったなんて!!
と言ってもあまりピンと来ないと思うので、詳しく説明していきますね。
Adapted Flee Famine Hypothesis(AFFH)
(飢饉を逃れる適応反応説)
拒食症は
大昔各地で飢饉や食糧不足が起きた際に
「食べるのをやめて動き続けて」移動し
食糧を探す
という生き延びるために適応した遺伝子によって引き起こされる。
自制心が強い、
エネルギーが多い人、
忍耐力(我慢する力)が強い人が特に有利だった
Adapted Flee Famine Hypothesis(AFFH)
(飢饉を逃れる適応反応説)
拒食症は
大昔各地で飢饉や食糧不足が
起きた際に
「食べるのをやめて動き続けて」
移動して食糧を探す
という生き延びるために適応した
遺伝子によって引き起こされる。
自制心が強い、
エネルギーが多い、
忍耐力(我慢する力)が強い人
が特に有利だった
拒食症の本性は「食糧を探して動き続ける」
何千年も前の大昔、今のように冷蔵庫も安全な家もなく、人が群で移動しながら暮らしていたころ、食糧を確保できるどうかは「生きるか死ぬか」のおおごとでした。
獲物がとれない、木の実や草が不作になり、住んでいるエリアで食糧不足が起きることもあったでしょう。
そんな時その場所に止まっていては食糧不足で死んでしまいますよね。
だから、食べ物があるところを探し求めて移動していたんです。
他の群や動物に食べ物が豊富な場所を先に取られないように、お腹が空いていても我慢をして動きつづけ、栄養補給をする時もできるだけ「最小限」の量ですます。
ゆっくり休んだり、お腹がいっぱいになるまで食べるということは、食べ物がある土地を取られてしまう、つまり「死」を意味していたんです。
そうやって私たちの先祖たちは、「飢饉があると食べるのをやめ、動き続ける」ように遺伝子適応させて命をつないでいました。
そしてこの「遺伝子」が“ON”になることで、拒食症が起きてしまう、ということなんです!
拒食症の「原因」は食糧・エネルギー不足
食べものが豊富な今の時代では、大昔あったような食糧不足はないかもしれません
ではなぜ、この遺伝子が働いてしまうんでしょう??
それは
意図的なダイエット、精神的なストレス、病気などでカロリーが不足する、
あるいは
「運動のしすぎ」で食べるカロリーよりも消費カロリーが多くなり、カロリー不足が続く
ことで、体が「飢饉が起きている」と勘違いして
「飢饉だ!食べるのをやめて移動しなくては!!」
と脳に指令を出すんです。
そのために「動かないと落ち着かない」「食べるのが怖い(適切ではない)」のような、拒食症の症状や衝動が出てしまうのですね。
つまり、拒食症の原因は
カロリー不足でエネルギーの負債(*)が起こること
なのです!
*エネルギー負債;カロリー不足が溜まった状態
飢饉を逃れるための行動は拒食症そのもの
拒食症の”死ぬほど”「食べることが怖い」
食べるのが怖いという感覚が、この「遺伝子」から来てるのだとしたら、自分ではコントロールできない“体が乗っ取られたような”恐怖感も理解できますよね。
お腹いっぱいに食べることは、生存のための遺伝子に反していることだから、「その一口が“死ぬほど”怖い」と感じてしまうのも、大袈裟ではないです。
拒食症の「動いていないと不安」
常に動いていないと不安、ゆっくり座れず立ちっぱなし、長時間のウォーキング、筋トレやジム通いがやめられない
拒食症の人はあるあるですよね。
「休むと罪悪感が半端ない…」という感覚だって、食事・カロリー制限で体に飢餓スイッチが入り、脳が「飢饉が起きているから、移動しなくては!!」と叫んでいるからなのです。
大丈夫、あなたは“おかしい”んじゃない!
こうやって理解すると、説明できないくらいの恐怖や不安、「頭で分かっていても」どうにもならない罪悪感、強迫感も理解できますよね。
拒食症でない人でさえ、体が飢餓状態になると、不安感、衝動、食べ物に対しての固執観念など拒食症と同じような症状が起こることが分かっています。
そこで拒食症にまで発展するかどうかは、完璧主義、頑張り屋さん、“ねばならない思考”が強い人、など摂食障害になりやすい性格・思考素因があるかどうかで変わるそう。
食べないこと、動き続けること、本能(食欲)に逆らうことを徹底的にやってしまうのですね…
痩せ願望が強くて拒食症から抜け出せない人もいます。
私の場合それはなく、むしろ太りたいと切実に思っていたにも関わらず、太るのが怖い、沢山食べることが怖いという、頭と体が一致していない状態でした。
だから
「私は頭がおかしいのでは」
「壊れているのでは」
とずっと悩んでいたんです。
そんな時この理論を知ったことで
「私はおかしいんじゃない。意味があって起きていたんだ。」
と納得できました。
本っ当にやっかいでわずらわしい、拒食症につきものの不安や罪悪感・・・。
その感覚も
食べ物・カロリーが足りず飢えたあなたを必死で守るために起きていた体の反応だったんです。
でも、そう考えたら体が愛おしくなりませんか?
残念ながら今は適切ではないけれど…
「食べる」「運動をやめる」のが“死ぬほど”怖い感覚も、今は必要のない遺伝子からのシグナル。
頑張ってその恐怖に逆らって、飢餓状態(カロリー負債)を脱しないといけないんですね。
長くなったので、「どうやって拒食を起こす遺伝子をOFFにするか」
は次回詳しく書きますね。
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免責事項; この記事は、既存の疾病のない一般の方に向けて、食と健康の知識を広める目的で書かれたものです。私自身の教育、研究そして個人的な経験に基づいた意見を述べたものであり、病気の診断 ・治療あるいは病気の予防を約束するものでは決してありません。
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